会社は、高年齢者の雇用確保措置に基づき60歳以降も従業員を引き続き雇用する義務があります。
60歳以降の働き方は人によってさまざまかと思いますが、
①60歳以前と変わらずフルタイムで働く
②労働時間数を減らして働く
大きく分けるとこの2つの選択肢ではないでしょうか。
①の場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)も加入し続けますし、60歳前と何も変わらないように見えますが、
雇用保険では行っておくべき手続きがあるのです。
■「雇用保険の六十歳到達時等賃金証明書」の提出を!
雇用保険の被保険者が、60歳の誕生日の前日に雇用保険の被保険者期間が通算して5年以上ある場合は、「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書」をハローワークに提出することで、「高年齢雇用継続基本給付金」を受給するための資格の確認と賃金月額の登録がされます。
この登録をすることで毎月の給与が、ハローワークに登録した賃金月額より75%未満に下がった場合などは、高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けとることができます。
■登録に必要な書類・注意事項
■高年齢雇用継続給付受給資格確認票
…高年齢雇用継続基本給付金を受給するための資格の有無をこの書類で確認します
■六十歳到達時等賃金証明書に記載された賃金支払い状況の内容が確認できる書類
…賃金台帳など
■運転免許証など、生年月日が確認できる書類の写し
「六十歳到達時」の賃金証明ですので、60歳に到達した時点で在籍している会社でのみ、登録が可能です。
60歳以降に入社をした従業員がいる場合は、前職で60歳到達時の賃金登録がされているか、確認をするとよいでしょう。
また、雇用保険の被保険者期間が5年以上あるかどうか今の会社で判断できない場合、これらの書類を提出すれば
ハローワークから被保険者期間が5年に到達する日を教えてもらえますので、安心してください。
■おわりに
雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書の提出は、必ずしも会社側での必須手続きではありませんし、あとから遡っての賃金登録も可能です。
60歳になっても、給与面は何も変更がない場合、登録をすぐにする必要はないと思われるかもしれません。
しかし、60歳以降に退職した元従業員が再就職をした場合、次の会社では賃金登録ができず、問合せがくる可能性があります。人事担当者が変更になった場合などに、スムーズに対応ができない可能性もありますので、60歳に到達したときの必要事項として、ルール化してしまった方がよさそうですね。
コラム監修者
特定社会保険労務士
佐藤 広一(さとう ひろかず)
<資格>
全国社会保険労務士会連合会 登録番号 13000143号
東京都社会保険労務士会 会員番号 1314001号
<実績>
10年にわたり、200件以上のIPOサポート
社外役員・ボードメンバーとしての上場経験
アイティメディア株式会社(東証プライム:2148)
取締役(監査等委員)
株式会社ダブルエー(東証グロース:7683)
取締役(監査等委員)
株式会社Voicy監査役
経営法曹会議賛助会員
<著書・メディア監修>
『M&Aと統合プロセス 人事労務ガイドブック』(労働新聞社)
『図解でハッキリわかる 労働時間、休日・休暇の実務』(日本実業出版社)
『管理職になるとき これだけはしっておきたい労務管理』(アニモ出版)他40冊以上
TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』監修
日本テレビドラマ『ダンダリン』監修
フジTV番組『ノンストップ』出演
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