• コラム

公開日:2024.06.22

更新日:2023.05.24

社労士顧問料の相場を解説!報酬相場はいくらぐらい?

会社を経営し、従業員を雇い入れるうえで、労務管理や保険、就業規則などが必要となります。しかし、これらを理解し、運用していくには非常に専門的な知識やスキルが求められます

そこで必要な企画の立案や運用の実行とアドバイスをしてくれるのが社労士(社会保険労務士)です。

社労士の存在は知っていても、どのような業務を依頼でき、顧問料はどのくらいが相場なのかわからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、社労士の仕事内容から役割、依頼できる業務範囲、それぞれの顧問料の相場、依頼に際して注意すべきポイントについてまとめました。

これから社労士への依頼を検討されている方は参考にしてください。

社労士(社会保険労務士)の仕事内容と役割

社労士(社会保険労務士)とは、企業や個人事業主の労働問題を取り扱う資格を持った専門家のことです。

労働法や社会保険制度に関する知識を持ち、労働問題や社会保険に関する相談や業務を行います。

具体的には、給与計算や社会保険手続きの代行、就業規則の策定や助成金の申請、労働紛争の調停・仲裁などがあります。

以下でより詳しく見ていきましょう。

 

社労士(社会保険労務士)とは

社労士(社会保険労務士)は、厚生労働省が実施する社会保険労務士法に基づく国家資格のひとつであり、一定の要件を満たした者が受験し、合格することで取得できます。

社会保険に関する法律や労働法に関する知識を持ち、それを活かして、企業や個人事業主の労働問題の解決や、適切な社会保険制度の活用を支援することが役割です。

基本的に社労士には、企業に直接雇用されている勤務型社労士、事務所を構えて独立して仕事をしている開業型社労士の2つのタイプがあります。

大企業であれば、勤務型社労士として勤務するパターンが多いかもしれません。中小企業など小規模の事業者であれば、開業型の社労士に仕事を依頼する、もしくは顧問契約を結んで業務を依頼する形が多いでしょう。

社労士が実行可能な業務

法律で認められている社労士の業務は以下の3種類となります。社会保険労務士法の第2条1項の1号から3号に規定されていることから、「1号業務」「2号業務」「3号業務」と呼びます。

  • 1号業務:労働社会保険諸法令に基づく申請書の作成や提出の代行
  • 2号業務:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
  • 3号業務:労務や社会保険に関する事項についての相談や指導(コンサルティング業務)

より具体的に業務内容を明記すると、以下のようになります。

  • 給与計算や社会保険手続きの代行
  • 就業規則の策定や助成金の申請
  • 労働紛争の調停・仲裁
  • 労務管理や福利厚生の相談
  • 人事評価制度や教育研修の提案

3号業務については、他の士業も行うことが可能です。

しかし、1号業務と2号業務については社労士の独占業務となるため、社労士以外が報酬を得て業務として行うことはできません。

社労士との顧問契約と顧問料とは

企業が社労士と顧問契約を結ぶと、社労士が労働法令に基づくアドバイスを行ったり、就業規則や労働契約書の作成支援を行ったりするなど、労務管理に関する相談業務や運用業務を行ってくれます

これらのサービスを受けるためには、顧問契約を締結し、顧問料を支払う必要があります。

また、社労士法により、社労士は顧問契約を締結しなければならない場合もあるため注意しましょう。

参考:社会保険労務士法 | e-Gov法令検索

社労士と顧問契約を結ぶことで、煩わしい管理業務を一任できる点は大きなメリットといえます。時間のかかる業務が多いため、社労士に依頼することで空いた時間を事業運営に注力できるため、会社の売上をより大きくすることに繋がるでしょう。

一方で、顧問料が発生することと、自社に合った社労士に出会えるかわからないというデメリットもあることも理解しておきましょう。

自社の状況に応じて依頼すべきか否かをしっかり吟味するようにしてください。

顧問料の変動要因は3つ

 

顧問料は、自社の従業員数、依頼する業務の範囲、業務にかかる実工数や相談時間によって変動します。

それぞれについて詳しく解説します。

 

自社の従業員数

自社の従業員数が多いほど、当然ながら社労士に依頼する労務管理業務も増えます

そのため、顧問料は従業員数に比例して高くなる傾向があります。ただし、従業員数に応じた基本料金プランを設定している社労士事務所もありますので、事前に確認してみるといいでしょう。

依頼する業務の範囲

依頼する業務の範囲が広くなるにつれ、顧問料も変動します。

例えば、就業規則について考えてみましょう。労働契約書の作成支援のほか、就業規則の改定や解雇に関するアドバイスなど、多岐にわたる労務管理業務も依頼した場合、範囲が広がった分だけ顧問料も高くなる傾向があります。

社労士によって、依頼内容ごとに金額を設定しているため、事前に業務ごとの金額を確認するようにしましょう。

業務にかかる実工数や相談時間

顧問契約の報酬は、社労士が実際に行う業務にかかる時間や相談時間によっても左右されます。

顧問契約を結んだ場合、社労士は契約期間中に必要に応じて電話やメールでの相談や、契約内容に基づく各種業務を行います。この際、社労士が実際にかける時間や手間に応じて、報酬が変動することがあります。

また、業務にかかる実工数や相談時間は、企業の規模や業種によっても異なります。

例えば、従業員数が多い企業では、社労士が実際にかける時間も多くなるため、顧問契約の報酬も高額になります。一方で、従業員数が少ない企業では、顧問契約の報酬は比較的安価になる傾向があります。

以上のように、顧問契約の報酬は自社の従業員数、依頼する業務の範囲、業務にかかる実工数や相談時間の3つの要因によって変動します。

顧問契約を検討する際には、自社の状況に合わせた契約内容を選択することが重要です。

社労士の顧問料の相場

 

社労士の顧問料については、以前まで都道府県社労士会の報酬規程に沿って決められていました。しかし、現在では報酬規定による制限がなくなり、社労士ごとに報酬額を定めています

同じ依頼内容であっても社労士事務所によって金額に差異があるため、正式契約の前に個別の確認を忘れないようにしましょう。

そのためにも顧問料の相場を把握しておくことが大切です。顧問料の相場は、大まかに従業員数、依頼する業務内容、実工数や相談時間によって異なります。

それぞれの相場について紹介します。あくまで金額は目安です。

従業員数からみる顧問料の相場

まずは、従業員数からみる顧問料の相場です。ここで紹介する金額は、労働社会保険に関する基本的な手続きを依頼した場合を元にしたものとなります。

従業員数 相場
5人未満 20,000円〜
10人未満 30,000円〜
20人未満 40,000円〜

依頼する業務内容からみる顧問料の相場

タスクごとに顧問を依頼するケースもあるでしょう。その場合、業務内容によって顧問料が異なります。

ここでは、給与計算、保険関係書類、就業規則の作成、助成金の申請について見てみましょう。給与計算については、基本の月額料金と従業員数に応じて課金されていくイメージとなります。

月額料金
基本料金 10,000〜30,000円(/月)+ 従業員1人あたり500〜1,000円
従業員数:10人未満 +5,000円〜
従業員数:10〜20人未満 +10,000〜30,000円〜
従業員数:20〜30人人未満 +20,000〜40,000円〜
従業員数:30〜50人未満 +40,000〜70,000円〜
従業員数:50人以上 +50,000〜80,000円〜
保険関係書類の作成 5,000〜10,000円/書類1枚
就業規則の作成 50,000〜150,000円
助成金の申請 報酬金15〜20%(着手金0円〜)

実工数や相談時間からみる顧問料の相場

通常の相談 30分 5,000円〜
具体的なコンサルティング 50,000〜100,000円

通常の相談であれば、相談時間に応じて報酬が決まっているケースが多いでしょう。

もう一歩踏み込んだ形でコンサルティングまで依頼するのであれば、費用の相場は表のとおりです。コンサルティング報酬については、社労士ごとに違いがあるため、契約に含まれる業務内容をしっかり確認しましょう。

当然ですが、人材採用戦略の立案や、採用した従業員を教育するための計画の作成、給与体系、労働時間管理の見直しといった、具体的な運用の立案とアドバイス、指導までを依頼する場合、内容に応じた費用が発生します

金額の詳細を知りたい場合は、依頼したい内容とセットで社労士に確認してみるといいでしょう。内容によっては、50万円以上、あるいは100万円以上かかることもあります。

労務関係のコンサルティング顧問料の相場

 

労務に関するコンサルティング業務において、社労士との顧問契約を結ぶ場合、顧問料はさまざまな要因によって変動します。

主な業務としては、労務コンサルティング、社会保険コンサルティング、給与計算コンサルティングなどが挙げられます。

それぞれの業務内容と、顧問料の相場についてまとめました。

労務コンサルティング

労務コンサルティングにおいては、人事制度や就業規則、労働条件などに関するアドバイスや、労働法令に基づく規定に基づいたアドバイスなどを行います。

具体的な顧問料は、契約内容や案件の規模によって異なりますが、1社あたり月額30,000円〜100,000円前後が相場となっています。

社会保険コンサルティング

社会保険コンサルティングにおいては、社会保険の加入手続きや保険料の計算などに関するアドバイスを行います。

具体的な顧問料は、社会保険料の額や従業員数、業務範囲によって異なりますが、月額50,000円〜200,000円程度が相場となっています。

給与計算コンサルティング

給与計算コンサルティングにおいては、給与計算システムの導入や、賃金体系の構築などに関するアドバイスを行います。

具体的な顧問料は、従業員数や業務内容によって異なりますが、月額50,000万円〜300,000万円程度が相場となっています。

以上のように、労務に関するコンサルティング業務においては、業務内容によって顧問料が変動します。

契約内容や業務範囲に応じて、社労士に相談して、適切な顧問料を決定するようにしましょう。

社労士に依頼するときの注意点

 

会社が社労士に依頼することは、労務管理や社会保険の手続きなどに精通している専門家にアドバイスを受けることができるメリットがあります。

しかし、社労士に依頼する前にはいくつかの注意点があります。ここでは、3つのポイントから見てみましょう。

依頼する業務範囲を決める

社労士に依頼する前に、具体的にどのような業務を依頼するかを明確にすることが重要です。

例えば、労務管理や社会保険手続きなど、業務範囲が広い場合もあれば、給与計算などの特定の業務だけを依頼する場合もあります。

依頼する業務範囲を明確にすることで、社労士に対する期待も明確化され、スムーズな業務の進行につながります。

どんな強みを持った社労士なのかを確認する

社労士には、それぞれ専門分野や強みがあります。

例えば、従業員数が多い企業向けに特化した社労士、建設業界に特化した社労士、外国人労働者に強い社労士などがいます。

あるいは、労務管理系に強い、社会保険関連に強いなどもあるでしょう。

事前の面談やホームページなどを確認して、どのような実績があるのか、顧問先にはどういった業種の企業が多いのかなどを確認してみてください。

自社にとって必要な業務を明確にし、その分野に強みを持った社労士を選ぶことで、より効果的なアドバイスを受けることができます。

担当社労士との相性

意外に見落としがちですが、社労士との相性も重要です。相性が悪い場合、コミュニケーションがうまく取れず、問題解決が遅れることがあるからです。

また、自社にとって都合が悪いことについてもアドバイスをもらうケースもあります。そのためにも、社労士に依頼する前に、複数の社労士と面談を行い、相性を確認することをおすすめします。

以上の注意点を踏まえ、自社に合った社労士を選び、依頼することが重要です。

また、業務内容によっては、社労士によって料金が異なることもありますので、複数の社労士に見積もりを依頼するようにしましょう。

まずは気軽にご相談を

 

社労士の業務内容と、それぞれの顧問料の相場についてまとめました。当然ながら、従業員の規模や依頼する業務範囲に応じて、顧問料は変動します。

従業員を雇い、会社を安定的に経営していくためには、労務管理、社会保険関連、就業規則、助成金の申請などは避けては通れません。しかし、これらを立案、運用していくためには非常に専門的な知識やスキルが求められます。

依頼するといっても顧問料には相場があり、また依頼できる内容についても基礎的な知識をもっておかないと、社労士との契約もスムーズにいかない恐れがあります。

この記事を読んで、基礎的な知識と相場、そして注意点を踏まえつつ、正式に契約を考える際には複数の社労士と面談するようにしましょう。

HRプラス社会保険労務士法人には、経験豊富な社労士が揃っています。まずはお気軽にご相談ください。

労務DDのご相談ならHRプラス社会保険労務士法人までお問い合わせください。

関連記事