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公開日:2024.06.28

更新日:2023.05.24

労働問題とは?労務に関するトラブルと対策方法を詳しく解説

会社を成長させるためには従業員の協力が欠かせません。しかし、従業員を雇い、モチベーション高く業務にあたってもらうためには、労務問題に真摯に取り組む必要があります。

働き方改革、ハラスメント、解雇問題など、労務に関するトラブルは企業活動で日常的に起こりえます。そこで、今回は労務トラブルについて取り上げます。

労務が果たすべき役割と、トラブルの実例と対策方法はもちろん、日頃から実施できる予防策についても紹介します。

今後、企業の労務問題に取り組む方は参考にしてください。

労務とは何か

労務とは、企業における人材を管理し、労働環境を整備するための業務全般を指します。

労務の目的は、従業員の働きやすい環境を整備することで、企業と従業員双方の利益を追求することです。

従業員を管理するという点において、労務と人事がよく混同されることもありますが、仕事内容は異なります。

大まかな違いとして、労務は従業員が働く上で必要な法令やルールの策定や労働条件の検討など、「対組織」に関する業務である一方で、人事は採用活動や研修、評価など、「対個人」に対する業務となります。企業によっては、人事と労務を兼務するケースもあります。

労務の業務内容をさらに具体的に見てみると、労働法令の遵守、採用・配置などの管理業務、労働環境の整備、ビジネスマナーの教育・啓蒙、労働紛争の解決、社員の健康管理、福利厚生の制度整備などがあげられます。

上記のように、労働環境を整備することで、従業員のモチベーションや生産性が向上し、企業の業績にも直結します。また、労働法令の遵守が求められるため、企業が法令違反を犯すことを防止し、企業の信用にも関わってくる大切な業務といえます。

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企業でよくある労務問題

近年、企業での労務問題が増加しています。以下で、代表的な労務問題とその対策について解説します。

労働時間や休暇に関するトラブル

労働時間に関するトラブルとしては、過重労働や長時間労働、適切な休暇が取得できないことなどが挙げられます。これらの問題は、従業員の健康や生産性に影響を与える可能性があるため、非常にセンシティブです。

「働き方改革」という言葉も浸透したことで、より一層意識される問題となりました。

休日や休暇が少ない、残業が多い、育児・介護と両立が難しいとなると、従業員の生活に直結するため、相談されるケースの多いトラブルといえるでしょう。

対策として、まずは法令を遵守し、適切な時間外労働の抑制や休暇の取得を徹底することが必要です。また、労働時間の管理に加え、就業規則や雇用契約書などの整備も重要です。

賃金に関するトラブル

賃金に関するトラブルとしては、不当な賃金や遅配・未払い、残業代の不払いなどが挙げられます。

これらの問題は、従業員の士気や生産性を低下させ、企業イメージを損ねる恐れがあります。

対策としては、まずは法令を遵守し、適切な賃金の支払いを徹底することが必要です。また、場合によっては給与体系や残業代の算定方法などの確認・見直しも重要といえるでしょう。

労働時間の管理と同様に、就業規則や雇用契約書を整備することも重要なポイントです。

関連記事>>残業で発生した未払い賃金の計算方法とこれが認められないケース

解雇に関するトラブル

解雇に関するトラブルは、労働問題の中でも特に深刻な問題の1つです。

不当な解雇や違法な解雇は、従業員のストレスや経済的な問題を引き起こすことがあるだけでなく、「不当解雇」として裁判となるケースも考えられます。

企業は、労働契約書や就業規則に基づいて、正当な理由のない解雇をしないようにすることが大切です。また、従業員に正当な理由を説明し、相談を受けることも必要です。

ハラスメントに関するトラブル

昨今、企業で最も多いトラブルの1つが、このハラスメント問題です。

ハラスメントとは、職場での人間関係において、精神的な苦痛や不安を与えたり、妨げたりする行為のことを指します。

具体的には、言葉や態度によるパワハラやセクシャルハラスメントが挙げられます。最近では、モラルハラスメント、マタニティハラスメントといったワードも聞かれるようになりました。

これらのハラスメントが発生した場合、加害者と被害者の双方の健康や仕事に大きな影響を与える可能性があります。また、加害者側がハラスメントをしていることに自覚がないケースも多く、気づいたときにはすでに関係修復が難しい状況となっていることも見受けられます。

企業はハラスメントを防止するためにも、日頃から社員教育や法令遵守の啓発などを定期的に行うことが重要といえるでしょう。

関連記事>>ハラスメント(パワハラ)における会社の責任と講じておくべき措置

労災に関するトラブル

労災とは、労働中に負傷や疾病を発生させた場合、労働災害保険制度によって、医療費や慰謝料、遺族補償などの給付を受けられる制度のことです。

しかし、企業が労働災害の発生原因を明確にしなかったり、事故を隠蔽したりすることがあるため、労災に関するトラブルが発生することがあります。

労災に関するトラブルが発生した場合、従業員は労働基準監督署に相談するケースもあるため、企業側と従業員側の双方でしっかりと話し合いの場を持つことが大切です。

労務トラブルが発生すると起きる事例

 企業において、労働トラブルが発生すると、以下のような事例が起きることがあります。

社員による労働基準監督署への通報により調査が行われる

企業において、労働基準法に違反する労務管理が行われた場合、従業員が労働基準監督署に通報することがあります。

通報があった場合、監督署は調査を行い、違反があれば違反通知を送付し、改善を求めます。

通知には期限が設けられ、期限内に改善が行われなかった場合、罰則が科せられることもあります。また、通報自体が企業のイメージダウンにつながり、社員の士気低下につながることもあります。

このような場合、企業は適正な労務管理を行うことが必要です。具体的には、労働基準法や労働契約書に基づいた労務管理を行い、従業員に対して適正な労働環境を提供することが求められます。

弁護士等から賃金に関わる請求書などが送られる

労働問題のもう一つの事例として、弁護士から賃金に関わる請求書が送られることがあります。

従業員側が違法な労務管理によって不当な扱いを受けた場合、弁護士を通じて賃金の支払いを求める場合があります。

企業側は、適正な労務管理を行い、労働契約に基づく適正な賃金を支払うことが必要です。また、契約書や賃金に関する取り決めを明確にしておくことが重要です。

企業外労働組合から団体交渉の要求がある

企業外労働組合から、賃金や労働時間、労働環境等について団体交渉を求められることがあります。

労働組合は、従業員の権利や利益を守るために活動する団体であり、団体交渉は、従業員側と企業側が話し合いを行い、合意形成を目指すものです。

企業側は、団体交渉において、従業員側との合意形成を目指すことが望ましいでしょう。

労務トラブルが起きたときの対応方法 

 

労務トラブルが発生した場合、すぐに対処することが大切です。ここでは、労務トラブルが起きたときの対応方法について解説します。

 

関係者に事情をきき、迅速に現状の把握を行う

労務トラブルが起こった場合、まずは関係者に事情を聞き、現状を正確に把握することが必要です。

その際、細かい点まで確認し、トラブルの原因を特定するようにしましょう。関係者と話し合うことで、トラブルの解決につながる情報を得ることができます。

会社義務の範囲を確認する

労務トラブルが起きた場合、会社がどのような義務を負っているかを確認することが重要です。

たとえば、労働基準法や労働契約書などで定められた労働条件が守られているか、社員の健康管理や安全対策が適切に行われているかなど、会社が負っている義務を確認しなければいけません。

第三者機関に相談する

労務トラブルが解決できない場合は、第三者機関に相談することが必要です。

例えば、労働基準監督署や弁護士、労働組合などが相談先として挙げられます。

それぞれの機関によって対応内容が異なるため、トラブルの種類や状況に合わせて適切な相談先を選ぶことが大切です。

労務トラブルが起こった場合には、とにかく迅速に対応するようにしましょう。

関係者とのコミュニケーションを大切にし、会社が負っている義務を確認することで、トラブル解決につながる情報を得ることができます。

それでも解決しない場合には、第三者機関に相談することで、トラブルの解決に繋げるようにしましょう。

関連記事>>社労士顧問料の相場を解説!報酬相場はいくらぐらい?

労務トラブルを予防するために気を付けること

 労働問題を避けるためには、事前の予防が大切です。ここでは、労務トラブルを予防するために気を付けるべきことについて解説します。

雇用契約書・就業規則の整備

労務トラブルを予防するためには、雇用契約書や就業規則の整備が必要となります。これらの書類は、従業員と企業の関係を明確にするために重要です。

雇用契約書には、勤務時間、賃金、休暇制度、福利厚生など、雇用に関する基本的な内容が含まれます。就業規則には、企業の規則や規定が定められています。

このように書面で従業員と企業のルールを明確にして、双方が理解し合うことが紛争の発生を防止することに繋がるといえます。

適切なタイミングで労働条件を見直すことも大切です。なぜなら、従業員が長時間労働や過重労働になってしまうと、ストレスや疲労がたまり、ミスや事故の原因となるからです。

また、賃金や待遇が不十分だと従業員のモチベーションが低下し、退職や労働意欲の低下につながることもありえるでしょう。

そのためにも、適切なタイミングで労働条件を見直し、従業員の健康やモチベーションを守ることが、トラブルを予防するために大切です。

従業員に規則を正しく理解してもらう

雇用契約書や就業規則は、作成するだけでは効果を発揮しません。従業員に正しく理解してもらうことが必要です。

理解してもらうためにも、従業員教育などを実施し、労務トラブルの予防に役立てましょう。教育の内容としては、企業の方針やルールの説明、セクハラやパワハラなどの禁止事項、労働法や労働基準法の説明などが挙げられます。

従業員に対して、企業のルールや法律の遵守を促すことで、トラブルの発生を防止できるでしょう。

万が一、従業員が規則を守らない場合は、その理由を確認し、従業員に理解してもらうように指導することが大切です。従業員が規則を守り、会社側も規則を適切に運用することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

労務トラブルの予兆を察知する

労務トラブルは、一気に発生する場合がありますが、多くの場合は、徐々に問題が大きくなっていきます。従業員の態度や言動、パフォーマンスの低下などから、トラブルの予兆を察知することができます。

こうした予兆を見逃さず、早期に対処することが、労務トラブルを未然に防ぐために大切です。

以上のように、労務トラブルを未然に防ぐためには、雇用契約書や就業規則の整備、従業員に規則を正しく理解してもらうこと、労務トラブルの予兆を察知することが肝要といえるでしょう。

労務のトラブルは未然に防ぐことができる

 企業における労務の役割、よくある労務問題の実例と対策と予防について解説しました。

企業活動において、労務のトラブルは日常的に起こりうるものですが、日頃から対応策を把握し、予防線を張っておくことが大切です。

ある程度、起こりうる労務トラブルは予想できるものなので、未然の対応で予防することもできます。

労務問題に真摯に取り組み、従業員を守ることは、ひいては企業の成長に繋がります。従業員の健康を守り、生産性を向上できれば、売上は向上する可能性が高く、なにより仕事に取り組むモチベーションも増加するでしょう。

HRプラス社会保険労務士法人には、労務管理業務にも長けた、経験と知識が豊富な社労士が在籍しています。些細なことからでもぜひご相談ください。

労務DDのご相談ならHRプラス社会保険労務士法人までお問い合わせください。

コラム監修者

特定社会保険労務士

佐藤 広一(さとう ひろかず)

<資格>

全国社会保険労務士会連合会 登録番号 13000143号

東京都社会保険労務士会 会員番号 1314001号

<実績>

10年にわたり、200件以上のIPOサポート
社外役員・ボードメンバーとしての上場経験
アイティメディア株式会社(東証プライム:2148)
取締役(監査等委員)
株式会社ダブルエー(東証グロース:7683)
取締役(監査等委員)
株式会社Voicy監査役
経営法曹会議賛助会員

<著書・メディア監修>

M&Aと統合プロセス 人事労務ガイドブック』(労働新聞社)
図解でハッキリわかる 労働時間、休日・休暇の実務』(日本実業出版社)
管理職になるとき これだけはしっておきたい労務管理』(アニモ出版)他40冊以上

TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』監修
日本テレビドラマ『ダンダリン』監修
フジTV番組『ノンストップ』出演

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