以前、コラムでは「パワーハラスメントの定義と6類型」について説明いたしましたが、 今回は「パワハラの多い職場」について取り上げます。
パワハラの多い職場に当てはまる特徴
厚生労働省の「平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」によると パワーハラスメントに関する相談があった職場に当てはまる特徴は以下のとおりとなっています。(回答率)
①上司と部下のコミュニケーションが少ない(45.8%)
②失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場(22.0%)
③残業が多い/休みが取り難い職場(21.0%)
④正社員や正社員以外(パート、派遣社員等)など様々な立場の従業員が一緒に働い ている(19.5%)
閉鎖的な職場は要注意
メンタルヘルス研修でもよく取り上げられる「上司と部下のコミュニケーション」 「職場の人間関係」に大きな原因があるということがこの結果でもわかりますね。
パワハラの起きやすい職場は、「人間関係が閉鎖的である」と言われています。
例えば他の部署と交流の少ないオフィス(密室的なレイアウト)や少人数の営業店などでは外部からの目が入りません。
その結果、上司に権限が集中して固定的な支配関係が生まれやすくなります。
上司は機嫌を害するようなことがあると、周囲が見ていないことをいいことに、 暴力的な言動が平然と行われる職場環境となってしまうのです。
上司の上司はその職場に常駐していなければそのことに気づきません。
また、このような閉鎖的な職場では、社員同士の人間関係がこじれるとそれを修復することは難しく、コミュニケーションが ますます少なくなり悪化の一途をたどります。
時々外部の人が出入りしたりしても隠蔽してそのような問題が起きていることがわからないものです。
そのためかなり状況が悪くなってから(たとえば被害を受けた社員が休みがちになったりするなど勤怠が乱れてから)内部告発的に連絡・相談がホットラインに入ることが多くあります。
失敗への対応
2番目に回答の多かった「失敗への許容度」。
こちらは「ミスをした部下への叱責の仕方」という点で要注意です。
「部下のミスは上司の責任」ではありますが、その叱り方が「精神的な攻撃」になるような言い方にならないように 注意しましょう。
仕事上のミスについては、その事実をしっかりと指摘し注意を促すこと、反省させ二度と同じミスをしないように促すことです。
決して感情的に怒鳴ったり、繰り返しあるいは長時間にわたって攻撃しないことに気を付けてください。
「失敗すると上司から怒鳴られる」と部下が日頃から感じていると、コミュニケーションはますます減って職場の人間関係は悪くなり「閉鎖的な職場」に陥ります。
そしてパワハラが発生します。負の連鎖です。
ミスを犯すことは職業人として良いことではありませんが、上司とともに同僚もしっかりフォローしていく職場作りを目指していきたいものです。
労務DDのご相談ならHRプラス社会保険労務士法人までお問い合わせください。
コラム監修者
特定社会保険労務士
佐藤 広一(さとう ひろかず)
<資格>
全国社会保険労務士会連合会 登録番号 13000143号
東京都社会保険労務士会 会員番号 1314001号
<実績>
10年にわたり、200件以上のIPOサポート
社外役員・ボードメンバーとしての上場経験
アイティメディア株式会社(東証プライム:2148)
取締役(監査等委員)
株式会社ダブルエー(東証グロース:7683)
取締役(監査等委員)
株式会社Voicy監査役
経営法曹会議賛助会員
<著書・メディア監修>
『M&Aと統合プロセス 人事労務ガイドブック』(労働新聞社)
『図解でハッキリわかる 労働時間、休日・休暇の実務』(日本実業出版社)
『管理職になるとき これだけはしっておきたい労務管理』(アニモ出版)他40冊以上
TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』監修
日本テレビドラマ『ダンダリン』監修
フジTV番組『ノンストップ』出演
関連記事
-
2023.05.24
- コラム
-
2023.05.24
- コラム
-
2021.06.27
- コラム
-
前の記事
-
次の記事