• コラム

公開日:2024.06.28

更新日:2020.04.09

障害年金⑤ ~支給停止・失権~

今回は障害基礎年金について更に深く見ていきたいと思います。

障害基礎年金の支給停止

受給権者が下記のいずれかに該当した場合、障害基礎年金の支給が停止されます。

・労働基準法の規定による障害補償を受けることができるとき
・障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったとき

上記に加え、20歳前傷病による障害基礎年金については、もう少し支給停止にあたることがあります。後ほど取り上げます。

まず、受給権者が労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときは、6年間、障害基礎年金の支給が停止されます。ただし、労働基準法の規定による障害補償ではなく、労災保険の障害(補償)年金が支給される場合は、障害基礎年金は全額支給され、労災保険側に調整が入ります。

次に、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、その障害の状態に該当しない間、障害基礎年金の支給が停止されます。障害等級に該当しなくなるというのは、障害基礎年金の場合、障害等級1・2級よりも軽くなった場合を指します。

最後に、20歳前傷病による障害基礎年金については受給権者が下記のいずれかに該当する場合、その支給が停止されます。

① 恩給法に基づく年金給付、労働者災害補償保険法の規定による年金給付、その他の年金給付であって政令で定めるものを受けることができるとき
② 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
③ 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき
④ 日本国内に住所を有しないとき
⑤ 前年の所得が一定の額を超えるとき

①の場合、その給付が全額停止されているときは、その停止が労働基準法の規定による障害補償または遺族補償を受けることができることによるものである場合を除き、障害基礎年金は支給されます。

②③の場合、いわゆる未決拘留者に対しては、支給停止は行われません。

⑤の場合は、受給権者本人の前年の所得がその者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の8月から翌年の7月まで、その全部または2分の1(子の加算額がある場合はその額を控除した額の2分の1)に相当する部分が支給停止されます。ただし、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財などのおおむね2分の1以上の損害を受けたときは、その損害を受けた月から翌年7月までは支給停止されません。

障害基礎年金の失権

障害基礎年金の受給権は下記のいずれかの場合に消滅します。

・受給権者が死亡したとき
・厚生年金保険の障害等級(3級以上)に該当する程度の障害の状態にない者が65歳に達したとき。ただし、65歳に達した日において3級以上に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、3級以上に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過していない時を除く
・厚生年金保険の障害等級(3級以上)に該当する程度の障害の状態に該当しなくなった日から起算して、3級以上に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年を経過したとき。ただし、3年を経過した日において、受給権者が65歳未満であるときを除く
・併合認定により、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金の受給権を取得したとき(従前の障害基礎年金の受給権は消滅する)

最後に

今回は、障害基礎年金の支給停止と失権についてご説明いたしました。以上で、障害基礎年金については説明を終わります。

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