• コラム

公開日:2024.06.28

更新日:2020.10.26

介護休業の要件について

今回は育児・介護休業法に基づく、介護休業制度シリーズ第一弾、「介護休業の要件」についてお届けしたいと思います。

介護休業制度とは

要介護状態にある対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して休業を取得することができます。

 取得できる労働者

・要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者

・有期契約労働者は、申出時点において次のいずれにも該当すれば取得可能です。

 ① 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること

 ②  取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと

 取得できない労働者

・日々雇い入れられる者

・労使協定で定められた、介護休業をすることができないとすることについて、合理的な理由があると認められる労働者

 ① その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者

 ② 申出の日から93日以内に雇用契約が終了することが明らかな労働者

③ 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

※この基準は、育児介護休業法で定められている最低のものなので、この基準よりも緩やかな条件を設けることはできますが、厳しい条件を設けることはできません。

 対象家族の範囲

配偶者(事実婚含む)、父母及び子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母

 常時介護を必要とする状態に関する判断

介護休業は2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するための休業。

<常時介護の判断基準>

 (1) 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。

 または

 (2) 以下のリンク先の表の状態①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11903000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Shokugyoukateiryouritsuka/0000130466.pdf

対象家族が要介護状態にあること等を証明する書類の提出を求めることはできますが、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を制度利用の条件とすることはできません。

とはいえ、仮に労働者が対象家族との続柄や要介護状態に関して虚偽の申し出をする等、不正な手段により介護休業等を取得することもないとはいえませんので、労働者の負担が過大とならない範囲で証明書類の提出協力が得られるようにしておくことも必要かと思います。

 93日の上限について

さてこの介護休業ですが、もし会社を変わったらこの93日上限はどうなるのでしょうか。

介護休業給付に関しては、会社が変わろうとも93日までしか受給できませんが、介護休業に関しては次の会社ではリセットされます。

なので次の会社で要件を満たせば介護休業は取得できます。

 最後に

介護休業を取得するには上記にあげてきた要件に該当しなければいけませんが、上記よりも労働者に有利な条件を設定することは、労働者の福祉の増進を目的とするこの法律の趣旨からも問題ありません。

また介護休業はあらかじめ制度が導入され、就業規則などに記載されるべきものです。

就業規則で定められていないからといって、事業主は拒否できません。

介護休業期間は労務の提供がない部分に関しては無給で構いませんが、事前に、育児・介護休業規定や賃金規定に、介護休業期間中の給与の取り扱いを規定しておきましょう。

令和3年1月より介護休暇の時間単位取得も始まりますので、もしまだ記載されていない場合はあわせて見直ししてみてはいかがでしょうか。

 

次回は「介護休業取得の流れ」についてお届けしたいと思います。

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